小さい子供がいる人、子供に何かを教える立場にいる人は読んで損をしない一冊「ことばの発達の謎を解く」

ことばの発達の謎を解く (ちくまプリマー新書)

えーと、今年の個人的目標は「英語をもうちょっと喋れるようになろう」なので英会話の書籍でも買おうかなあと思っていたら、英会話に直接関係ないこの本が目につき思わず買ってしまったという一冊。
結果的に「買って良かった。読んで良かった。」です。

単語も文法も知らない赤ちゃんが、なぜ母語を使いこなせるようになるのか。ことばの意味とは何か、思考の道具としてどのように身につけていくのか。子どもを対象にした実験の結果をひもとき、発達心理学・認知科学の視点から考えていく。子どもってすごい!

背表紙に書いてある上記紹介文だけで充分な気がしないでもないけど、一応僕なりの感想を以下に。

生まれてから成長するにつれて子供たちは言語を習得していくのだけど、その順序やメカニズムを様々な実験とその結果を踏まえて詳細に解説してあるのが1章から4章の部分。それを読み進むだけでもかなり面白い。
読みながら「あーなるほど」なんてことを何度も呟いてしまった。

さらに知的好奇心を刺激されたのは5章以降。

5章では語彙という巨大な「意味のシステム」をどのように心の中に構築していくのかということを、「発見」「想像」「修正」をキーワードに読み解いていくのだけど、これがまた面白い。
当然ながら我々大人はこの過程を経ているからこそこうやって日本語を使って物事を考え伝えることができるわけだから、ある程度は「こうだろうな」とぼんやりながらも把握しているのだけど、これが明確に言語化され仕組みが解き明かされていくことが楽しく小気味良かった。
さらにこの章の後半では「発見」「想像」「修正」というキーワードで説明された言語学習のプロセスを使って「外国語の学習」をする際のヒントが書かれている。それは「こうすれば完璧」とか「楽して覚えられる」いうような類のハッキリとした答えではなくあくまでヒントでしかないのだけど、それを知った上で外国語に触れると、これまでとは違った意識の向け方と学習の仕方ができるのではないかと思う。

6章では言語と思考の関係性について述べている。
個人的にはこの章だけでもこの本を読む価値があるんじゃないかと思った。
その中でも興味深かったのが数の概念と言語の関係性の解説。特に「数を表すことばを子どものころに学習した経験が、数という概念そのものに直接的な影響を与えることを示しています。」ということに衝撃を受けた。いや、衝撃というよりも「やはりそうだったか!」と目の前の曇りが晴れたような気分という方が正確か。
やはり人間は言語によって思考するわけで、なんとなく感じることを言語化し、それを利用して類推し、現実にフィードバックし続けることで世の中のもっと多くのものを見ることが出来、さらに理解できるようになるのではないかと強く思った。

さて、ここまであれこれと感想を書いてきたけど、この本に書かれている具体的な内容にはなるべく触れず、僕が感じたことだけを連ねたのでどんな内容の書籍なのかということが伝わり辛かったなと思う。だけどちょっとでもこの本に興味を持ったら、自分で読んで、その内容と自分の経験を組み合わせて何かを発見することが、この本を楽しむ一番の醍醐味になるんじゃないかなと思うので、そこは勘弁を。「自分で発見」と「アナロジー」がこの本を貫く背骨だとも思うしね。

小さい子供がいる人、これから子供を産む人育てる人、子供に何かを教える立場にいる人は読んで損のない一冊。
言語学習のメカニズムそのものに興味がある人にももちろんお勧め。
いろいろな分野で応用の利くことがたくさん書いてあるので自身の基礎教養を広げたい人にもお勧め。
是非!

-読書
-